2013年6月4日火曜日

とまとさんとはなしたこと。その3 〜トマトとの出会い〜

さてさて、

前回は、トマトさんが実は小さい頃から
トマトが好きというわけではなかったという話しから、
最後、トマトを好きになるある事件の直前までを書きました。

今回は、いよいよトマトさんとトマトとの出会いです。

トマトさんが、トマトを好きになったきっかけが出てきます。





その、朝の風景というか、トマトのきれいな風景があってですね、
トマトのにおいをかいだ時に、なんていうか、パッと気づくものがあった。
トマトがいいな、と。


(とまとさんとはなしたこと。そのからの続き・・・)



げん   :それはなんでトマトにクローズアップしたんですか?

とまとさん:これはですね、冬、年が明けて1月ぐらいの時に、
      朝実習が始まる前に、トマトを栽培しているハウスに入りました。
      その時はなんかトマトに関することで、なんていうかな、
      こう感じるものが多かったという。

げん   :へー。

とまとさん:で、パッてドアをあけたら、トマトが生育していて、
      それを見てその姿がきれいだったので、ハウスの中に入ってみて、
      こう、暖房もしてるから暖かかったというか・・・。
      その時印象的だったのが、やっぱりにおいが良かったということですね。

げん   :トマトのにおいとかあるんですか?

とまとさん:あるんです。

げん   :ビニールハウスの中のにおいみたいな?

とまとさん:そうです。
      で、それは冬の栽培なんで、
      ハウス内の換気は温度を保つために全然してなくて、
      したらまぁにおいもこもってますと。
      なので、朝一番でドアをこう、パッと開けると、たまってたにおいがこう、
      全部こう、ぐっと凝縮されまして。

げん   :ほう。

とまとさん:それが、良かったなと。
      ということで、なんていうかな。そのトマトのにおいと言っても、
      よくね、みんなが知っているトマトの果実を食べる時のにおいとは、
      また違うにおいで。
      その、葉っぱとか茎のトマトのにおいっていうのがあってですね、
      これはもう、現場にいってもらわないと分からないんだけど、
      それが、ちょっと青っぽい感じで、
      もうこれは、トマトだなっていうにおいで。
      それが良かったな、ということで。

げん   :トマトはその体験がある前から好きだったんですか?

とまとさん:いや、そんなことはなかったですね。
      ただその、他の野菜と同じ立場というか、
      トマトも野菜、キュウリも野菜、キャベツも野菜ぐらいの感じで。

げん   :別にトマトが抜きに出てるわけじゃない?

とまとさん:はい。野菜の中のただの一つだったけれども、
      でも、その朝ドアを開けてなんかこう、
      トマトを体いっぱいで感じると・・・。

げん   :うんうん。

とまとさん:そうですね。
      五感で感じるということで。
      わかんないけど、
      その前も無意識でトマトが好きだったかも知れないけど。  
      その、朝の風景というか、トマトのきれいな風景があってですね、
      トマトのにおいをかいだ時に、なんていうか、パッと気づくものがあった。
      トマトがいいな、と。

げん   :え、じゃあそれが仮になすだったとしたら、
      もしかして今なすにはまってるかもしれない?

とまとさん:そうそうそう。そう思います。笑

げん   :ま、でもトマトだった。

とまとさん:トマトだったということですね。







それになりたいなという気持ちが強くなってですね、
予定を変更して、もう1年残ります!と。



げん   :それで、そういった品種改良、
      特にトマト関係の仕事をやれたらいいなと思って、
      専門学校と今の会社のつながりがあったていうのもあって・・・。
      じゃあ、就職はある意味迷わず・・・的な感じなんですか?

とまとさん:そうですね。ですんで、ある朝のそのトマトのにおい事件があってからは、
      プラントブリーダーって仕事がちょっといいなって思ってたというのもあって、
      で、それがトマトでできたら最高だなと思って。

げん   :それを思ったのは何才ぐらいなんですか?

とまとさん:それは、19才ですね。

げん   :卒業後どうしようかな?みたいな時ですか?

とまとさん:そうですね。
      まその、1年目で帰る人もいるし、希望すれば2年目も残れるんだけど。
      で、1年目の年度末ぐらいまでは、
      1年で帰って、飛行機の整備士の学校行こうと思ってたんだけど、
      それからちょっとポンと考えを変えましてですね、
      トマトの仕事をしたいというよりかは、プラントブリーダーですね、
      それになりたいなという気持ちが強くなって予定を変更して、
      もう1年残ります!と。
      で、さっき言った通りその専門学校は種苗会社とのつながりがあったので、
      ぜひやるんだったら、
      その種苗会社になんとか入社して、
      志望するプラントブリーダーの仕事をできるようにやろうと。
      で、そのためには1年で帰ったらなかなか難しかったので、
      2年目残って、その2年目はトマトを専門的に勉強して、
      入社につなげたいと。ということで・・・。

げん   :今の会社に?

とまとさん:今の会社ですね。
      2年目に入ってから将来どんなことをやりたいの?とかって面接があるんだけど。
      もう就職試験は始まってるんで、6月ぐらいに面接とか申し込みをして、
      結果的に入社はできたんだけど、
      その時の条件というか入社するコースとしては、
      プラントブリーダーではなくて、
      また違う仕事で。
      簡単にいうと、そのプラントブリーダーの人のサポート係みたいな。
      そんな感じの職種としてですね、入社できることになったと。
      プラントブリーダーって言うのは業界の中で花形の仕事で、
      その職につくのはなかなか難しいし、やってる人も、
      高学歴な人が多いというか、はい。
      もう、ほんとに、国公立の院卒の人がやるみたいな感じだったんですけど。
      だけど、僕はなんでその会社に入りたかったかというと、
      間違いなくプラントブリーダーになりたいって言うのははっきりしてたんで、
      で、別にそういうね、
      入るときはサポート係で入っても、
      入社してから頑張って努力して自分をアピールすれば、
      きっと道は開けると。
      ということで、どんな形であれ、
      入社できたら良かったなということで入社しましたと。

げん   :入社してからはどんな仕事をやってたんですか?
      プラントブリーダーになりたくて入って、
      その後、11年間今の会社でどういう仕事を?

とまとさん:簡単に言うと、野菜の栽培をするということで。
      要するに農家さんがやっている仕事と同じ内容のことをやってると。
      で、プラントブリーダーと何が違うのって言うと、
      プラントブリーダーの人は、実際自分では栽培はあまりしないと。
      だけど、その栽培をしている様子を調査すると。
      途中の生育の仕方がどうとか、あの種類はどうとか。
      で、実際、収穫できて、例えばトマトだったら、
      実際に収穫したトマトの果実の調査をして、
      どのトマトとどのトマトがいいから、このトマトを交配して、
      来年その交配した種のトマトを見てみようという、
      そういう計画づくりっていうのがプラントブリーダーのメインの仕事。
      で、どっちにしろやっぱり栽培するっていう過程は必要なので、
      そこを担当するのが、ま、自分たちという感じですね。






辞めることは全く考えてなかったですね。


げん   :それは実際働いてみて、仕事は楽しかったんですか?

とまとさん:楽しかったですね。楽しかったですけれども。。。

げん   :でも、辞めるっていうことは・・・?

とまとさん:辞めることは全く考えてなかったですね。

げん   :それは全く考えてなかった?

とまとさん:考えてなかったです。
      僕は、そのときの仕事がどうであれ、
      プラントブリーダーになるっていう目的があったので、
      スタート地点はその現場から遠く離れた栽培の仕事だったかもしれないけど、
      しっかり必要なことをやって、努力して、
      上の方の人に、そういうことやりたいんですと言ってれば、
      できるとそう信じてたんで。
      何をやったらその道が開けるのかっていうことを考えて、
      まぁ色々やりましたということですね。
      で、考えた作戦は3つあって、
      まず一つは学位の資格を取ろうと、学歴が大事かなと思ったんで。
      プラントブリーダーになる上でも、色んな人の
      協力がないと無理だと思うので、自分を紹介してくれる上の人のためにも、
      紹介してもらいやすい、何かはっきりとした
      努力の跡というか、そういうのを見てもらうために、
      大学卒の資格を取ろうということですね。
      もう一つは、何か、特異的な特技みたいな感じで、
      他の人には追いつかれないなんか、
      この、群を抜いた、特技を身につけようということで。
      で、英語の勉強をしようと。

げん   :そうですよね。英会話にも通ってましたよね。

とまとさん:そうそうそう。英語の勉強をしようと思って。
      で、3つ目はね、
      自分はプラントブリーダーをしたいから、その勉強をしますと。
      それは仕事が終わった後とか、会社が休みの日とかに、
      幸い実家が農家で畑もあるので、そういったところで、
      知識なり経験なりを積もうと。
      ま、この3つをですね、まず頑張ってやって、アピールポイントにして、
      いつの日か、プラントブリーダーになりたいですと、言おうと。
      で、結果からいくとですね、まずその大卒の資格を取ろう作戦は、
      通信の大学をやるということで色々段取りして
      やったんですけど、3ヶ月くらいで挫折しましてですね、
      辞めましたということです。
      英語の方は、駅前留学ということで、英会話に通ってやってました。
      ただですね、上達はしたんですけれども、
      なんていうかな、その職場の中で突き抜けた存在にはなれないと。
      一つその英語の勉強に関しては、楽しみがあって。
      年に1回全社でTOEICの受験があるから、
      これでトップクラスになったら、はっきりと数字がでるから。
      それで自分をアピールしようと思ったんですけど、
      なかなかその、海外で仕事している人達がいっぱいいる中だったんで、
      結構それは難しいなと。
      これはちょっと中途半端な内容で終わってしまったんですけれども。
      で、最後にその、プラントブリーダーの勉強っていうことで、
      野菜の品種改良の知識と技術を独学で得ようと。
      そのときはうちの両親が農家をやっててメロンを作ってたんで、
      メロンを題材にして、品種改良のやり方を学んでいたと。
      5年間くらい、自分でメロンを育てて、花を咲かせて、交配させて、
      っていうことをやってたんですけど、
      えー、よくわからなかったということでですね・・・。笑
      まぁ、要するに全部ちょっと中途半端に、
      なってしまったなというのがありましたと。
      ただ日々の仕事というのは一生懸命やってましたということで、
      何が一生懸命にさせたかっていうと、それもトマトの存在が大きくて。
      専門学校の時もトマトは好きだったけれども、
      実際会社に入ってからするトマトの仕事というのは何が違うのかというと、
      自分が責任を持って栽培管理できるっていうことで。
      学生の時はやはり先生とか先輩の人がいて、
      その人の考える管理の仕方をやらなきゃいけなかったけど、
      実際入社すると自分が責任を持って、
      最初種を蒔く所から収穫までをやるということであって、
      こりゃどうにかいい栽培をしたいと。
      で、北海道というところもあって、タマネギがメインになってるんだけど、
      その中で、規模は少ないけれどもトマトの仕事というのがあって。
      で、トマトを栽培するとすごい楽しいし、
      他の作物に比べるとトマトみたいに果実をとるという栽培は難しいんで、
      なかなか技術とかがいるんだけど、
      なんていうかな、トマトをうまく作るためなら勉強も集中できたし、
      色々調べたりということもできたなと。









自分の好きなことはある程度はっきりしてるけど、
ただ環境的にそれを100%やるのは難しいなと。



げん   :じゃ、別に会社に勤めてて、充実はしていたってことですよね。
      なんで辞めようと思ったんですか?

とまとさん:なかなか最初入社したときは勢いもあってなんでもできるなーって
      思ってたというのもあって
      ブリーダーを考えてたけど、
      いざ自分でやってみると、さっき言った通り難しいなっていう所もあった。
      ただ、そのトマトの栽培っていうのは、面白かったと。
      逆に言えば、トマトって魅力がすごいあるんで、
      トマトの品種改良までしなくても、ただトマトの栽培をしてるだけでも
      自分の中ですごい充実して楽しかったと。
      ただですね、それをやればやるほど、トマトのことがわかってきて、
      で、やればやるほど楽しくなるっていうのがある中でですね、
      やはりその、会社というところなんで、
      自分が好き勝手できるのはなかなか難しいと。
      当然会社の中での優先順位として、
      色々あるから、それは分かるんだけど、自分としては
      やはりトマトが好きなんで、
      トマトをいっぱいやりたいってなってくるわけですよ。
      で、そうなってくるとですね、
      色々考えるところが出てきて。
      自分はトマトが大好きだと分かってますと、
      ただ会社の仕事でいったら、
      そのトマトのことは全体の1割〜2割未満ぐらいしかできないと。
      でまぁ、それってどんなもんかなと。
      自分の好きなことはある程度はっきりしてるけど、
      ただ環境的にそれを100%やるのは難しいなと。
      ただですね、まさか会社を辞めるとかは考えてなく・・・。

げん   :辞めようとは思ってなかったんですよね。
      それって、辞めよう!って思った”きっかけ”みたいのはあったんですか?

とまとさん:ありました。
      今考えても神様がいるなという感じですけれども、
      僕の大好きな登山家栗城さんて言う人がいて、
      その人との出逢いというかその人を知ったことでですね、
      スイッチが入ったと。

げん   :それはたまたまテレビかなんかで栗城さんの映像とか特集を見て、
      すぐ講演会場に・・・?

とまとさん:そうですね。
      栗城さんの番組を見て、そのテレビを見たらなんか興味がわいてきて。

げん   :でもなかなかそれで・・・。
      広島まで行ったんですよね?笑
      直近の講演会が広島だったっていうことで。
      次の週かなんかに札幌であるのに。

とまとさん:そうそう、
      2週間後に札幌であったんだけど、どうしてもその時行きたかったから。笑









このチャンスを逃したら、
たぶん、一生自分の好きなことにチャレンジしないな、と
思ったんで・・・。



げん   :そんなにその時、なんかビビッと・・・?

とまとさん:ビビッと来ましてですね、テレビでその人の存在を知って、
      HPとか本が出てたんで本を読んで出来る限りの色んなことを知ってですね。
      で実際、講演会っていう本人と会える機会があったので、
      その講演会に行きましたと。
      なかなか講演会だから遠くからただ話を聴いてるだけだけど、
      なんていうか、話の内容もさることながら、
      本人が持っているオーラというかですね、
      そういうのを感じるのが非常にあって。
      その栗城さんていうのは、自分のやってる登山っていう活動を通して、
      普通の人でも頑張れば、夢とか目標とかは叶うんだ、
      ということを、伝えたいと。
      だから登山をする、と。
      そこに共感するところが非常にあってですね。
      その普通の人でも、夢や目標は達成できますよということで、
      色々壁はあるけれど、
      みなさんチャレンジしましょうみたいな感じだったんで。
      それはその通りだなっていうことでですね、
      栗城さんと生まれた年が同じということもあって、
      同じ年の人で、さらに北海道出身の人だったから。
      そういう共通点もあり・・・。
      本当に普通の人に見えるんですよね。
      そういう人があれだけ、なんだか、大きいことをやっているっていうのは、
      やっぱりね、きっと自分もできるなと、思ったし。
      ま、それをきっかけに、やろう!ということでですね。
      なかなかその、自分で本当に希望して入社できた会社だったし、
      退職っていうのにはひと壁あったんですけれども、
      まぁ、その栗城さんの影響もありですね・・・。

げん   :ひと壁あってっていっても、すぐですよね・・・。笑

とまとさん:そうですね。
      このチャンスを逃したら、
      たぶん、一生自分の好きなことにチャレンジしないなと、
      思ったんで・・・。

げん   :それは何才の時ですか?

とまとさん:それは28才の時ですね。
      25才ぐらいからっていうのは、さっき言った通りで、
      ある程度自分のしたいっていうことはわかってはいたけど、
      まぁその、会社っていう環境の中でだと、
      やりたいけどやれないみたいなことで色々考えたことはあったんだけど、
      その栗城さんの存在を知ったというのをきっかけにですね・・・、
      「ま、やめよっ!」っと、自分の好きなことをやってみようという風に、
       決心できましたと。









写真撮影:楊さん

https://www.facebook.com/jolan.yang.1



つづく





前回までのはなしはコチラから

トマトさんとはなしたこと。その1 〜出会いと仕事〜

とまとさんとはなしたこと。その2 〜飛行機の整備士〜





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